夢は夢のままで、変わらない夢とアイドル像

夢は夢のままで
窓辺から見上げた星
遠すぎて 手を伸ばすことも怖かった

―― STAR / 超ときめき♡宣伝部

小泉遥香というアイドルがいる。超ときめき♡宣伝部のメンバーだ。私はとてつもなく彼女が好きだ。俗にいう推しである。

子どもの頃はアイドルになりたかった。子どもの頃と言っても幼稚園生の幼い夢などではなく、21歳くらいまで本当にアイドルになりたかった。21歳のときに乃木坂46の3期生オーディションがあった。年齢が1つ間に合わなかった。もう目指せる年齢じゃないんだ、と諦めた。

実際はもっとチャンスがあったと思う。中学生の頃から夢だったし、オーディションを受ける機会などいくらでもあったはずだ。しかし親に言えなかった。未成年は大体のことが親の承諾なしではできないし、私にはそこまでの行動力が足りなかった。

今になって思うことがある。あの頃足りなかったのは、行動力ではなく、自己肯定感ではないだろうか。大人になってから「なぜ自己肯定感がそんなに低いのか?」と訊かれることが多々ある。あまり褒められることの多い人生ではなかった。決して優等生ではなかったし、高校から大学院まで全ての受験で第一志望には受からなかった。思い返せば好きな人に告白を受け入れてもらったこともない。どちらかといえば負けっぱなしの人生である。自己肯定感が上がる理由が今までになかったのだ。


小泉遥香が1月5日に23歳になった。

自己肯定感も高いし、自分のこと全然嫌いにならない人だから、理解してもらうのも難しいかもしれないけど、自分の事を好きでいてくれる皆さんのことは、私も大好きだし、みんなのためにならステージに立ちたい。夢を叶えたい。って強く思います。

そして、アイドルという職業は本当に立派だと思います。みんなに歌って踊って元気とパワーを届ける。そんなみんなのアイドルになれていることが、物凄く嬉しいです。

―― 小泉遥香(おはる)Instagramの投稿

彼女は自己肯定感が非常に高い。歌が上手く、向上心もある。そして自らのアイドルという職業に自信と誇りを持っている。そんなところがとても好きだ。

こんなアイドルになりたかった。そう思うと同時に、きっとこんなアイドルにはなれなかったとも思う。

アイドルと役者やアーティストはどう違うのかについて考えたことがある。役者やアーティストはあくまでも自身のアウトプットを通じて感情に訴えかける、いわば芸術家だ。しかしアイドルは、歌や踊りなどの作品だけでなく、生き方やスタイルなど、仕事以外の存在そのものすらも他に影響を与えるのではないか。それゆえ、職業がアイドルではなくても「アイドル的に応援する」という価値観があるように、すべての存在は等しく誰かの「アイドル」になり得るのではないか。ただ、自ら誰かのアイドルでありたいと思う者が「職業:アイドル」を名乗っているのではないか。

私はアイドルになりたかった。今でもなれるのであれば、やっぱり私はアイドルになりたい。